< デジタルとアナログ併用における留意点 >
この度は、弊社HPをご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
EDUL Design 株式会社は、企業理念にもございますように、学校様・企業様の教育現場や人財育成の課題を、教育ツールとその運用システムをデザインして解決するために設立いたしました。そんな弊社の商品ブランド「ACTIO」では、「ACTIO手帳」を中心に教育ツール・自己成長ツールを開発中です。
「ACTIO」とは、「行動」を意味する語源です。なぜ「行動」なのか。それは、多くの社会人が失敗を恐れて新たなチャレンジを試みない、一歩先の挑戦や成長に挑まない方が、あまりにも多過ぎると感じるからです。失敗こそが最高の教科書になるにもかかわらず、失敗に背を向けてしまっている方があまりにも多い。もったいないお話です。
これは、社会人特有の問題ではなく、小学生・中学生・高校生・大学生等でも同じことが言えるようです。我々大人は、子どもたちが小さい頃から失敗をさせないように守り過ぎてしまいます。例えば 家庭や学校でお子さん・生徒さんが理解しやすいように支援し過ぎたり、失敗しないような仕組みを作り過ぎたり、そして進みやすいレールを引き過ぎてしまう、といった必要以上の手厚いサポート(=過干渉)になってしまっていることも大きなひとつの原因のようです。良かれと思いされていることが、結果的に自ら考えたり判断する機会、自主性を芽生えさせる機会を奪ってしまっています。これでは自主性を芽生えさせ、主体性を発揮させるには至りません。こういった状況は、学校現場の多くの教員様とのお話でいただいたお言葉です。
弊社が企画開発した「ACTIO手帳」とその「シンプル運用法=ACTIO手帳式コーチング」は、そんな背景と課題を考慮しながら、解決に繋がるようにデザインしています。
これからの時代は、グローバル化とともに、ICT・IoT・AI・VR・AR等々、ITに関連するデジタル社会へと時代の流れが急激に進みます。そして、我々の周りにはスマートフォン・タブレット・パソコン等の便利なものが溢れ、それに伴い情報も溢れかえっています。まさに、何が正しいのかを判断するのが困難な時代と言ってもよいのではないでしょうか。ここで浮かび上がってくる問題は、便利なデジタルツールが溢れることで「早くデジタルに慣れるため」といった理由で、「無意識に便利さや効率を優先してしまう判断」(=デジタル活用の先行)に走ってしまうことです。これが教育現場で実際に起きてしまうことです。
ICT教育に反対をしている訳ではなく、一番の問題点は「せっかくタブレットを持つなら、それでできることは全てやってしまおう」といった判断そのものです。教育現場に限らず、便利を追求することで省くことができる手間(プロセス)があります。その省かれた手間(プロセス)に「どんな教育的価値を経験する機会」があったのか。この失われる機会を常に念頭に置いて考えなければいけないと考えています。「無意識に便利や効率を優先してしまう」ことで、「教育的価値」が「教育的リスク」になってしまうのです。これは教育現場では危惧すべきことです。ICTの広がりはビジネス現場のみならず、教育現場でも政府が「生徒一人にタブレット1台」を推奨し、ICT教育がますます広がっています。こういう時代だからこそ、生徒と直接接する教員様には、「タブレット等に移行することで失われる教育的価値」を常にテーマのひとつとして、議論していただく必要性が高まってきている時代だと思われます。
そして、そのスタンスをお持ちいただくためには、「アナログツール」と「デジタルツール」のメリット・デメリットをしっかりと把握していただく必要があります。その上で、成長期にある生徒さんに様々な社会的能力を身につけさせるため、場面場面でどちらのツールが適しているのか、これを吟味する必要がありそうです。
まず、アナログツールのメリットは、その活用プロセスでいったん立ち止まって振り返ったり、しっかり理解しながら考える脳が働くため「思考力・読解力」「自己認識力」が身につく点。そして、その過程で得られる「習慣力」や自分で工夫して得られる「真の自己管理能力」の習得、そして「本物の継続力・忍耐力」をも養うことができる点です。それはなぜかというと、脳科学でも言われていることですが、アナログの紙媒体に書く動作の場合では、脳の「物事を考えたり、理解しようする部位」が働いているからです(反対に、デジタルでは全く別の脳部位が働いてしまうため、デジタル依存の方は「読解力・理解力・思考力・言語化する力・語彙力・周囲への注意力」などが著しく足りないことをよく耳にしますが、これも頷けます)。
デメリットな面としては、手間であり面倒であること。「書く」ことがその最たる例です。
一方で、デジタルツールのメリットは、情報の検索やその情報から興味・関心を得ること、そして情報の共有や可視化のスピードと手間取らない仕組みづくりに適していることです。しかし、自ら作り出して工夫する力や本当の自己管理能力を身に付けにくく、そのツール(例えばスケジュールアプリ)がなくなるととたんに何も自己管理できなくなってしまうモノなのです。(反対にアナログは、もしそのモノ自体(例えば手帳)がなくなったとしても、プロセスを自ら修正したり工夫したりを積み重ねてきた経験が、白紙の紙1枚だけ渡されても自己管理できる力になっているもので、この差は大きく社会で「生きる力」に直結します)。
デメリットな面としては、アナログで得られる教育的価値のプロセスを飛び越えてしまうため、それらを養うことが困難になることです。手帳での管理を「スケジュールアプリで管理」させることがその最たる例です。
これら各ツールの特徴からもわかるように、大人になるまでの成長期にあたる学生時代では、「興味関心を引き出す教育や便利さ・効率性(デジタル活用)」だけに頼らず、「手間と時間を要する人間性を育む教育(アナログ活用)」との「バランスこそ一番大事にするべき」ではないかと考えられます。上記の各メリット・デメリットを相互に考えると、ひとつの解が見えてきます。それは、「デジタルで校務や提出方法等の便利な仕組みづくりはしつつ、教育の根本である人間性を育むアナログ経験をいかに取り入れた体制」ができるか。言い換えると、人が自己成長するカギは「書くという手間を習慣にするしくみづくり」が大切だということです。手間でも大事なことだと理解し「書くことができる人」と「そうでない人」との差は歴然で、学校の教育現場やビジネスの人財育成に携わる方であれば周知の事実でしょう。アナログとデジタルは全く別モノです。ゆえに【アナログとデジタルを併用する現場力】が問われているのです。
さらに、「認知能力」(目に見える・数値で評価できる能力)と「非認知能力」(目に見えにくい・スグに成果が現れにくい・数値で評価しにくい能力)をバランスよく習得させるといった視点も大切です。手帳活用で養うことができるのは「非認知能力」です。「習慣力」「振り返る力」「思考力」「判断力」「自己認識力」「自己肯定感・自己効力感」「自己管理能力」「主体性」「自律」などが考えられますが、このような「非認知能力」が「認知能力」を向上させる土台になります。
ここまで述べてきたように、「便利や効率の良さ」だけに偏らず、「手間や面倒で時間の要する作業」でも、そこから学ぶことが成長期には大切なことがお分かりいただけたのではないでしょうか。「手間と面倒の裏にこそ本当の教育があり、成長があり、人間性が育まれる」と弊社では考えています。「ACTIO手帳」や「ACTIOノート」、そして「その運用方法」は、そのために適したツールのひとつです。自ら工夫しながら成長に繋げる本物の「自己管理能力」を、ぜひ一人でも多くの生徒さんや社会人の方々に習得していただきたいと考えています。
EDUL Design 株式会社
代表取締役
梶田 泰里